治療費について

■ 初診時の費用につきまして

 当院におきましては初診のお申し込みをいただいた、最初のご予約においてはすべての歯の基本的な検査について健康保険の範囲内で調べることからはじめます。加えて、お痛みを中心とした急性症状に対する対応も可能です。 抜歯や古い治療の除去、3ヶ月おきのメンテナンスにつきましても同様です。

■ 自由診療が主体となる理由

 ある一定以上の水準(具体的には先進国の専門医における医療と同等で長持ちするもの)の治療計画を実施するためには,残念ながら制度疲労を起こしてしまっている日本国の健康保険制度では及ばない点(ほぼ40年にわたり内容も診療報酬も改善されているとは言いがたいのです)が多々認められます。 それは,治療それぞれについてのコスト計算や,適切な材料を選択できない、現実に即していないと考えられるルールや,歯科医学の最新技術をフォローしていない問題であったりします。患者さんにとって有益であるのは,治療により最適な状況に再建されたご自身の口腔内環境が永きにわたって快適であり,加齢と共に喪失歯をいたずらに増やさないことが最大の目的です。 優良な材料を使うことは治療品質を向上させうる必要条件ですが, 十分条件ではなく歯を長持ちさせる要因の一つに過ぎません。 治療品質を決定する大部分は,科学的論拠(EBM)に基づく診断治療計画および治療技術治療の精度といったものが,決定的な要因を占めているのです。

 もし,生涯を通じて健康を真剣に考えるならば,健康は高価なものではありません。 多くの方は快く噛むことができて,魅力的な外観を保ち,生涯を通じて自然な歯で過ごしたいと願っています。 また,多くの人は歯の治療費が安価である事も願っています。 それを可能にするためには私たちとともに,その目標を達成するためのプログラムを作成し,しっかりと管理していく事が肝要です。

 問題が少なければ少ないほど,治療を始めるのが早ければ早いほど,治療に要するコストは圧縮されます。その為には,徹底した予防と検診による早期発見が極めて重要になってくるのです。 そして病気がない状態での予防は健康で安定した将来を予測する事が可能になります。 逆に何年も,場合によっては数十年も壊れるに任せた口腔内を再建するのは大変です。 歯科的な健康は買う事が出来るものではありませんが,専門家によるプラークコントロールの指導とメンテナンスによる管理は,歯を失う事のない人生を過ごす上で最短距離に違いないでしょう。

 歯科医院へ通院する目的は,歯を削って金属やセラミックなどの人工のものと置き換えるためではありません。 もちろん,ムシ歯に『なってしまえば』仕方がないですし, 歯周病に『なってしまえば』特別な治療が必要になります。 そうならないように努力する事が大切なのですが,それを現実に効果的なものとするためには専門家の手助けが必要です。

 治療を急ぐあまり,そして圧倒的な情報不足ゆえに,多くの人達は未だに後日やり直しが必要な粗悪な治療を受けています。 それは財産を目減りさせるに等しい問題です。 1本の歯は人生に何度も歯科治療のやり直しが効くようなものではないはずですが,やり直さざるを得ない状況の歯を多くの方が持っておられます。 良質な虫歯の治療を受けていたとしても歯周病により複数の歯を同時に失う事になる方は後を絶ちません。 歯周病は自覚の乏しい病気ですから決して自己診断に頼らず,私どもの診断を求めてください。 診断を受けてくだされば何が必要か解ると思います。 目指すべき目標があなたの希望と一致している事をご理解・ご確認いただけるなら慎重に治療を始めればよいのです。

■ 治療費算出の考え方

 医療の適切な価格というものを正確に定量するのは困難ですが,私たちは欧米の 先進諸国における専門医の医療費をその根拠といたしております。 これは,先進諸国での歯科治療に必要な費用の額としての標準的なものです。 例えばニューヨークで1.000ドルであった治療費が日本で1万円であるとしたとき,単に日本は安くて良かったと考えるのは早計です。 たいていの場合,治療内容や品質が別物といえるほど違うことが多いのです。 世界中どこへ行っても通用する良好な治療品質を得るために必要な治療というのは,完全な知的集約作業に他なりませんし,場所によってやり方が異なるということはありえません。 それを費用に換算するためには,その治療に必要な治療時間から導かれるのが世界中で標準的な算出方法です。 歯科材料費というのはその一部に過ぎません。 ですから,治療内容とそれが保障する品質について充分な説明を受けた上で治療費の多寡は判断するべきでしょう。 

 世間の平均よりかなり割安な設定の自由診療費で治療をなされた患者さんが,何らかの理由で再治療が必要となった時に,その自由診療の修復物を撤去せざるを得ない例は後を絶ちません。 それがほんの数年前に治療したものであることも全く珍しいことではありません。 治療に使用されている歯科材料だけが自由診療で技術水準は平均的な健康保険による歯科治療と全く変わらないとこういう悲劇が起こります。 治療内容にもよりますが一回あたり1時間未満(実際に歯科医が患者さんの歯の治療操作をする時間)の予約がほとんどである医療機関における自由診療の受診の是非は少し考えたほうが賢明かもしれません。 

 治療内容に関するご契約は診査診断が下された後,治療開始前に個々にご相談申し上げます。 そして,ご契約が完了した時点で実際の治療を開始することになります。 自由診療費はその治療結果を請け負ったものであり,ほぼ完全な事前のお見積もりが可能です。 しかし,健康保険制度のご利用に関しましては,健康保険制度は出来高制ですので,治療日毎のご精算が必要であり,治療前の完全なお見積もりは,その制度上不可能である旨はご理解願います。 個々の治療費のお見積もりは,まず初診の検査をお受けになった上でご相談申し上げます。