歯科CT検査

より優れた方法による検査が、なぜ患者さんにとって重要なのでしょうか? 歯科用のコーンビームCTは従来の歯科のレントゲンとどのように違うのでしょうか?

  1. 医療安全を確保するため。 平均的な歯科診療ではパノラマとデンタルX線写真が一般的に用いられておりますが、 限られた単一方向の重層的な透過像のみで、フィルムの位置による画像の歪みもあり、得られる情報には制限があります。 CTはあらゆる方向からの断面を非常に薄く(0.1mm)スライスした断面を任意に観察することが出来るため、画像のゆがみがなく、 従来のX線写真を遥かに凌駕する高品質な情報が得られます。 結果として、より良好な治療結果とより高い安全性が確保されます。
  2. コーンビームとフラットパネルディテクタによる歯科用コーンビームCTは医科用ヘリカルCTより低被爆です。
  3. 医科用ヘリカルCTを凌駕する解像度を有します。 それに加えて、歯科に必要な硬組織に特化した画像で高精細に観察できます。
  4. 歯周病専門医にとって従来、手術するまで正確には 判明しなかった歯槽骨の形態が立体的・3次元的に診査の段階で判明することは、圧倒的な優位点です。 従来では、少し治療を進めなければ解らなかったことが、診断時に非破壊検査として可能になります。
  5. 歯周病治療で重要なファクターである根分岐部病変の状況が立体的・3次元的に診査可能になります。 これは、手術の可否や予後の予測について大きな意味を持ちます。
  6. インプラント治療の計画・施術においての寸法測定が精密・正確に行えます。
  7. 米国式歯内療法(マイクロスコープによる根管治療)においてデンタルX線では知ることも出来なかった 頬舌方向のスライス、歯根の輪切りによる断面の画像が自由自在に得られることは、 従来のレントゲンでは見逃されていた隠された根管の発見が容易になります。 結果として治療の品質・結果が『従来は診ることが出来なかったものが、目に見える形』で向上します。
  8. 矯正治療における唇側・頬側骨の厚みや形態の診査が可能になります。 成人矯正においては特に重要な問題で、歯周病専門医が矯正歯科医師と連携する上でのアドバンテージになります。
  9. 上顎洞の状況、後上歯槽神経、切歯孔、オトガイ孔など歯周病治療、インプラント治療において 重要な解剖学的ランドマークを精密に知ることが出来ます。
  10. 当院で採用している機種はコーンビームが360度回転するという特徴があります(一般的なのは180度回転)これにより、 金属の歯の修復による虚像(メタル・アーチファクト)がもっとも 少ないのは現時点で大きな利点です。

以上のような特徴がある。歯科用のコーンビームCTを導入して、 皆様の診療に備えております。 もちろん、機械はどこまで行っても単なる機械ですので、 それを使う人間が最も大切なことに代わりはありません。 しかしながら、一昔前には考えられなかったような 検査が治療結果におよぼす影響は計りしれません。  どうか、御初診の段階で口腔内の問題点を全て洗い出すためにも 歯科用コーンビームCTの検査についてご理解およびご活用いただくことを願ってやみません。  *注意;医科用ヘリカルCTと異なるのは歯科では硬組織の診断を重視しているという事情があります。 医科では軟組織の画像診断が重要なので写り方が異なります。 これは、それぞれの特性に応じたもので、どちらがいいというわけではないのです。 医科用ヘリカルCTが必要な患者さんには画像検査センターのご利用を従来通りご案内申し上げます。

■ 歯科CTは健保適用されているケースがあります

 歯周病による根分岐部病変(上下大臼歯)、埋伏している歯の検査、複雑な歯髄の問題を抱えている場合、などです。詳しくは、初診の検査を受けた時点で適否が判断できます。

■ 顎関節規格撮影

 左右の顎関節がずれている場合、顎関節症の疑いがある場合は健保適用です。