歯の治療を受ける前に考えていただきたい5つのこと・・・

■ 第1にお口全体を考えること

 歯周病やムシ歯が気になったり,銀歯が外れたり,痛みがあったり,歯が欠けたり,しみたり・・・と,さまざまな動機で歯科医の元を訪れるのは,患者さんとしてごく普通のことでしょう。そして,その問題を解決する事が患者さんの第1の希望である事も普通のことです。しかし,せっかくこのサイトをご覧になっている皆さんに,いくつか是非お伝えしておきたい事があります。

まず,あなたのお口には全部の歯が正しく揃っていてこそ価値があると言う事です。歯1本ずつの値打ちは全体の1/28に過ぎないのです。ヒトとして生きて行くには28本の歯が病気に冒されることなく正しく機能する事が必要条件です。そして,だからこそ私たちは,その1/28に価値があることを十分すぎるほど知っておりますし,その価値を完全にご理解いただけるよう説明し,そしてそれを全力でお世話させて頂きます。あなた自身がその価値について十分に学習する ことが最も大切なのです。多少面倒かも知れませんが,人生をトータルで計るこ とが出来る方なら,それがいかにリーズナブルな事であるかが容易に理解できることかと思います。

■ 第2に早めに良好に治すこと

 病気は待ってくれません!早ければ早いほどいいのです!歯の疾患の ほとんどは非可逆性のものです。機能的な回復は可能であっても,解剖学的には決して元通りにはならないのだと言う事を肝に銘じるべきです。痛みによって初めて歯の問題に気がづいたのでは,シンプルに治療を済ませるには遅い場合も少なくありません。『治療開始時期が遅い』という問題は治療をより一層複雑にしますし,予後の信頼性の低下にも直結します。お口の状況に敏感であるべきです。

■ 第3にプラークコントロールは財産

 あなたに最適化されたプラークコントロールをマスターすることです。歯みがきの習慣のない方というのは,今やほとんどおられませんが,歯と歯茎に問題を抱えておられる方は圧倒的に多数存在します。これが何を意味するかというと,『ほとんどの方が行っているブラッシングは適切ではない!』という事実です。成人になってから歯を守るための口腔衛生指導は国民の義務にはなっていません。ほとんどの方が,ご自身の歯並びに対して最適な方法を知らないのです。ですから,正しい方法を完全にマスターするまで教育を受けるべきです。

難しい事はなにもないのですが,数十年も培ってきた習慣を改めるというのは,それなりにハードルの高い事です。しかし,やらない方(御自身の意志で!)はおられても,出来ない方は いらっしゃいません。そして,生涯プラークコントロールの成果を専門医に管理してもらうことが必要です。それをメンテナンス・システムと呼びます。

■ 第4に治療品質=予約

 現代歯科医学に則った治療はアポイントシステム(予約制)と切り離す 事は不可能です。品質の高い治療結果を望まれるのなら,複数回の治療行程と,その度ごとの時間の確保は必須となります。当院では治療開始時刻と治療終了時刻の両方の予約を確保させて頂いております。例えば,とくに重要な処置の予約を直前に変更なさると,その次に時間を確保出来るのが,ずっと後と言う事になりかねません。そうなると治療品質に影響が出る事は避けられません。ですから,アポイントは御自身のお仕事の予定と同等の優先順位と考えるべきです。

しかしながら,一方では,患者さん個々の状況というのは,同じものが2つとない世界ですから,治療を始めて予想外に時間がかかったりする事も起こりえます。そういったときは多少お待たせすることがあることをご理解頂きたいと思います。ただし,そういった事態を極力避けるように精密に診療時間をお見積もりします。

■ 第5に計画を立ててから治療を

 初診にいては除痛・緊急処置を最優先すべきです。一般的に患者さん が初診の申込みをなさる際には,何かしらの問題があり,それが痛みであることは比較的多いことだと思われます。もし,激しい痛みを伴って来院なさる際は, 何よりもその除痛処置を優先します。そして除痛がなされた時点において,口腔内の全てのの情報を診査診断した上でその後の診療計画を相談すべきです。

歯は大切に管理と手入れをすれば一生使えますし,粗末に扱えば年齢と共にあなた自身がその代償を支払う事になるのだと言う事を忘れないで下さい。